MESSAGE
( Dreaming に寄せて )



GHOSTは

衝動としなやかさが交錯する、

どこまでも静かな核心の地平に姿を現す。

荒野にこだまする音と言葉は胸を撃ち、

私達に残酷と憧憬の意味を伝える。

姿無く、

しかし生者よりも確かにそこにいる艶やかな音楽。


−サウンズパル 高良俊礼 −






    鋭角的な言葉でもなく、かといって何かぼかした様な言葉でもない。 だから言葉の一つ一つが素直に耳に入ってくる。そしてGHOST=Chiaki Yoshihara世界観を明確に脳裏に提示させてくれた上に、そこからの個人的想像、解釈を無限に膨らませる事ができる。彼女の言葉は、確実に彼女自身だと思う。彼女の等身大が、その素直な言葉ゆえに、図り知れない。 曲に関しても、一曲一曲ごとに、サイケデリック、アンビエント、パンク、、など全く違った表情を見せてくれるのに、アルバム一枚を通しての表情には、散らばったような感覚は無い。全てを消化して、またその大きさを図り知れないものにする。僕は彼女の音に埋もれていったのか、抱かれたいったのか、わからなくなった。                                                        
    神尾良憲(ex.EVS)


    これは今現在のGHOST:Chiakiの完成度の高さを物語る秀作である。 『のびあがるもの』でスーっとゆっくり入り、『こんなもんじゃない』でグッと盛り上げ、『フラフラ』でバラードな雰囲気にもっていく等々、全8曲を通して飽きのこないように繊細な気配りがなされていることを感じさせる。また、この繊細さは一つ一つの曲からも感じとることができる。それはユニークで時には大胆とさえ思える曲についても、音色の一つ一つを吟味し妥協を許さない厳しさで音創りに臨み完成度を高めた結果であろう。またそれは聴く者の聴覚を惹きつけて離さない魔力のようだがなぜか心地よい。38分程の時間がやけに短く感じるのである。 1stアルバムから約2年半、一段と完成度を高めたGHOSTに一人でも多くの人に出会って欲しいし、その成長を確かめて欲しい。でも、その違いを確かめるためには1stアルバムをまず聴かなければならないが…。

    「GHOSTをメジャーにするために渋谷タワーレコードへ予約に行こう」
    1stアルバムの時もそうであったように、発売日(2ndアルバムは1月16日)までの予約数が多いほどCDショップは力を入れて販売します。それは予約数が多ければ多いほど「このアルバムは反応が良さそうだ…」と各店舗は判断し仕入を多目にすることになり、その結果店内の比較的人目に立つ場所に置いて販売数を伸ばしたいと考えるからです。その目安となるお店が渋谷のタワーレコードやHMVです。全国の主要なCDショップはこの2店の予約状況や仕入数を参考にしながら自店の仕入数を決めているとのことなので、その’しくみ’を大いに活用させてもらおうではないですか。それはより多くの人達にこの『Dreaming』が目に触れる機会を増やすことにもつながるし、強いては音楽雑誌やメジャー会社の話題になるかもしれないのです。そうなったら楽しいよなぁ…。
    竹山 力


    、、、ところが、帰り調布の「平和のつどい」の野外ステージで生ギター一本でロックを歌っている人がいました。一見、青年が歌っているのかと思いましたが、観察してみると女性だということが判り、それが、吉原千晶さんとの出会いでした。演奏の後、声をかけようと思いましたが、彼女の音楽に引きつけられ足がすくんで声がかけられませんでした。(中略) 私が、吉原千晶の音楽を通して感じることは、無垢なるものへの情熱、政治的倫理性、宗教的超越性、人間存在にまつわる根源的暴力性など芸術家が常に心していなければいけないだろうと思うものをもっていると感じています。彼女のタルコフスキー、埴谷雄高に関する興味は当然のことと思います。(彼等が共有する滅亡・終り・最後・死・祈りに対する配慮) 吉原千晶の音楽は、CBGB(ニューヨークパンクの拠点)から日本のパティスミスと評価されたそうですが、彼女はパティスミスと同格の仕事をしていると思います。 2ndアルバムについては、今迄私が聴き取れなかった 女性的母性的エロティシズムが表現されていると思いました。 「人々は君の行為を求め、証しを求め、作品を求める。そして君が創りだすことができるものといえば、形をかえた涙だけだ」 (E・M・シオラン:悪しき造物主 より) この私の好きな言葉が、吉原千晶の音楽にも通じることを希念しています。                                                             
    田中 浩





    Dreaming..それは少年の見た夢 そしてあなたが魅せられる夢

    少年は夢の中でニンフ(妖精)と出逢い GHOSTの世界へ旅立つ
    これは少年の夢物語
    GHOSTが産み出す音は妖精や魔物に姿を変え 
    あなたの夢の中へ              by やま

    1.のびあがるもの

    少年とニンフはGHOSTの森の中
    若葉は光を求め、輝く緑で覆われる
    老木は今にも朽ち果て 土に帰ろうとしている
    少年が乗ったもの それは時の船
    産まれ そして死んでいく
    生命の尊さ 残酷さ
    のびあがるもの 滅びゆくもの
    「あなたには時間があるわ そしてそれはとても尊いもの」

    2.こんなもんじゃない

    少年は魔物に襲われる
    逃げまどう 出口は見つからない
    心臓がせりあがる 「あたしの手を離しちゃダメ!」
    ニンフの叫び声さえ 聞こえない
    恐怖と後悔
    ぐるぐる ぐるぐる
    同じところを ぐるぐる
    「ガードレールを飛び越えて!」
    少年は飛び越えた
    守ってくれるはずのガードレールを
    守ってくれるはずの..

    3.フラフラ

    「ねえ、ニンフ、帰るってどういうこと?」
    「安全な生き方よ 退屈と引き替えにね」

    少年は自分を変えたかった
    あてのない路 さまよう旅に出よう
    この森を後にしよう
    フラフラ フララ..口笛でもふいてね 
    新しい自分探しの旅

    4.あたたかい

    少年は老木に触れた
    ぼろぼろ崩れる樹肌
    少年は少し泣いた
    「ぼうず、いいんじゃよ わしはもう眠りたい
    それに ここはあたたかい あたたかいんじゃよ」

    おやすみをいい
    少年はGHOSTの森を抜けた

    5.向こう側へ

    少年は何が欲しいのかわからない
    向こう側へ 向こう側へ
    あこがれなの? わからない
    「ねえ、向こう側には何があるのだろう」
    「え?ここがあなたのいう"向こう側"なのよ」
    「でも、そのまた"向こう側"もあると想うんだ」
    「そう、だから あたしはあなたを選んだ」
    「どういうこと?」
    「ふふふ..」
    わからない わからない

    6.夜曲

    迷い込んだ道 たき火をして寝ころぶ
    天空を見上げる
    満天の夜空に無数の星たち..
    自分の小ささに 無力感が襲う
    無力感は時に 涙に姿を変えようとする

    「ねえ、いいこと教えてあげる 泣きたいときにはね 泣けばいいのよ
    人はね、ときどき こんな簡単なことも忘れちゃう」

    夜は静かに溶けていく..

    7.イヌワシのように

    朝が来た
    気がつくとニンフはいない
    耐え難い孤独に襲われる
    「どこ! どこにいるの?」

    恋は孤独と寂しさから生まれるのかもしれない
    それが嘘でも真実でも
    ただ、会いたいという感情だけは痛みとして残る
    痛みだけは真実だ
    ああ..空を飛んで 君に会いにいきたい
    高く 速く 速く 高く 空を飛んで
    君に 会いたい

    8.夢を見て

    夢からさめて朝が来た
    小さくなったランドセル
    いつもの小径

    少年は少しだけ大人になったような気がした
    この世界もまた"向こう側"なのかもしれない
    現実ってどっちだろう?
    わからない わからない

    「こんにちは」
    「え?」
    「いやあねえ!忘れたの?」
    笑顔のニンフが話しかける..

    こうして少年とニンフの夢物語が始まる..   やま







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