いつも応援してもらっているTさんから一枚のファックスが入った。急遽決ったイベントへの出演依頼だった。「心病める人のイベント」というサブタイトルを見てすぐには精神を病んだ人達のイベントだとわからなかった。Tさんが心の病いだという事も知らなかったし、出演者も全て病者だという事も当日会場でわかった。健常者は私だけだとTさんは言った。「病者」「健常者」という言葉も今迄使った事がなかった。ライブから遠ざかり、あまり外に出たくない日々が続いていて会場に行く迄億劫だったが、到着後見たステージの上では「あ〜許すまじ劣化ウラン弾を」と私が幼い頃聴いた「三たび許すまじ原爆を〜」を替えてを歌っている人の姿があった。圧倒され涙がこぼれた。Tさんは私にハカイを歌う事の責任について話し大切に歌い続けて欲しいと励ましの言葉をもらった。トリを務めてくれと言われ私は久しぶりに人前で歌った。「水晶の舟」「イヌワシのように」「むこう側へ」「夢をみて」「フラフラ」「風を呼べ」を歌った。このイベントが私の悶々とした心を解き放つキッカケになったと感謝の気持ちを伝え演奏を終わった。イベント終了後みんなで打ち上げに行った。飲み屋で何も食べずにお茶と薬だけを口にする女性とはMACのTVCMで流れていたSTONESのShe's like a rainbowについて話したりと楽しい時間を過ごした。これまでに何度も病院に行ってもおかしくないような心の状態になったことはある。特に音楽活動が軌道に乗る前の20代は非常に不安定だったと思う。病院に行く人と行かない人の違いがまだ私にははっきりと分らないが、薬を使って安定を維持するか、不安定な状態のままで過ごすか、何か薬以外の物で克服するか。
前に進む事だけを考えて来たここ数年、私はGHOSTに支えられていたのだと思う。私自身が私の創った音楽に支えられている。そしてGHOSTを影で支えてくれているTさんのような人達の存在によって生きていけるのだと思う。おみやげにTさんからバッハのCDとTさんのお母様お手製のオレンジマーマレードとお手紙を頂いた。「息子の願いを叶えてもらえて有難うございます」という内容のとても丁寧な手紙だった。このイベントに出演してよかった。帰宅後、この手紙を読んで改めてそう思った。
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